とりどり便り

鳥好きの鳥だらけブログ

野生ヨウムの絶滅危惧とワシントン条約付属書Ⅰ類 その2

南アフリカヨハネスブルクで開催されている
ワシントン条約第17回締約国会議にて
本日、ヨウムワシントン条約付属書Ⅱから附属書Ⅰ掲載への
提案が決議されました。

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CITES CoP17とも呼ばれる今回の会議は
2016年9月24日から10月5日まで開催予定で、
象牙の問題に絡むアフリカゾウについての提案や
センザンコウやサメなど
動物・植物約60種についての話し合いがされています。

ヨウムについては、前回ブログでもお伝えしたような
非合法取引による野生個体の激減が問題となり
現在の附属書Ⅱ類(サイテスⅡ)から附属書Ⅰ類(サイテスⅠ)への
レベルアップが検討され、日本から会議に参加している
野生生物保全論研究会さんのヨウム掲載会議についての
現地レポートによると、

www.facebook.com

参加国の投票により、圧倒的多数の賛成票で
ヨウムのⅠ類移行が決定したようです。
これにより、国際取引が大幅に制限され、
基本的には学術や研究目的ではない商業のための
輸出入が禁止されます。
この決定により、
コンパニオンバードとしてのヨウムについての話としては
大きくふたつ、

1・今までのように海外から
ペットとしての輸入が出来なくなります。
(動物園等の施設で学術研究のためとしての
 輸入は可能です。)

ただ繁殖証明書があるブリード(繁殖)個体は
ペットしての輸入が可能なため、
海外の繁殖場からの輸入が無くなることはないかと思われます。
ヨウムは世界的に人気のあるペットでもあり
繁殖もものすごく難しいわけではないため
現在でもブリードの輸入個体は日本に入ってきています。

2・ワシントン条約での決定から通常約90日で効力を発揮する
日本の国内法、
絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律」(種の保存法
により、Ⅰ類記載の動植物は国際的に保全協力が必要な種を守るため、
国際希少野生動植物種として指定され、

環境省_国際希少野生動植物種一覧

日本国内での譲渡(販売も含む)に登録証が必要となります。
こちらの登録については前回ブログの通りです。

野生ヨウムの絶滅危惧とワシントン条約付属書Ⅰ類 その1 - とりどり便り

すでにヨウムが居るおうちで問題となるのは
環境省への国際希少種登録について、
これからお迎えを考えている方にとっては
条約による制限により輸入数が減ることが予測がされ、
手に入りにくくなること、値段があがることが予想されます。

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野生個体の激減を受けて今回の決議がされた
ヨウムのⅠ類掲載ですが、
「今すでに絶滅する危険性がある生き物 」を守るための
サイテスⅠ入りを

「え?数が減ってる?では今が販売のチャンス!」や
「え?数が減ってる?じゃあ今のうちに手に入れておかなきゃ!」

というような希少動物に認定されたから、珍しいだろうから
という価値観に置き換えて、
生体販売数がむしろ掲載後に増える例や
駆け込み販売と言われるような、手に入りにくくなる
状況を予想してその前に売っておこう、買っておこう!というような
ケースもとても残念なことに、耳にします。

現在の野生ヨウムの激減は、非合法での密猟も大きな要因を占めており
また、繁殖証明書のあるブリード個体であっても
その繁殖に使われている親鳥たちが
非合法で捕えられた野生個体であるというような
パターンも少なくなくあるようです。
附属書掲載がⅡからⅠに上がったとしても
そもそもが非合法であれば、法的規制が大きくなっても
それだけで野生ヨウムの数が回復するということは、
残念ながら無いと思います。
ただ、国際的に大きな問題として捉えられ、
輸出国だけでなく輸入国各国内での
法的な力が大きくなることなどで、
今よりも大きな抑止力となることは間違いがありません。

今回のサイテスⅠ類掲載を

「手続きが増えてめんどくさい」
「手に入らなくなって困る」

と思う方は、多分このブログを見に来ないのでは
無いかなあとは思うのですが、
もし、そういう方が周りに居たり
飼っている、興味があるのに何も周辺事情を知らない方が居たり、
たまたまどこかでヨウムや他のコンパニオンバードを見たり
話をする機会があれば
重い話だなあ…と嫌がられるかもしれませんが
それをその方々に伝えていくだけでも
野生ヨウムの絶滅というかなしい予想を
止める力になるのではないかなと思います。


前回ブログに野生ヨウムの絶滅危惧については
また次回!
とか書いておきながら、
結局サイテスⅠ掲載決定まで
何も書けなかったため、
また次回野生ヨウムについて続きます。
ごめんなさい…m(__)m
ツイッターでは、ブログよりはまだ
更新しておりますので
よろしければそちらもご覧ください。
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主に興味のある鳥情報の紹介ばかりに
なっていますが^^;)
よろしくお願いいたします。

<掲載写真撮影地>富士花鳥園 
※写真撮影地・個体は本文と何も関係ありません。
 先日訪問した時に見たヨウムさんたち。※