とりどり便り

鳥好きの鳥だらけブログ

野生ヨウムの絶滅危惧とワシントン条約付属書Ⅰ類 その1

先日発売のオールバードに書かせていただいた
野生ヨウムの絶滅危惧に伴う国際取引について、
ワシントン条約での附属書Ⅰ類指定されるのではないかというお話について
本日のニュースで続報が出ており、
愛鳥家さんだけでなく、かなり世間的に注目をあびる記事となっているようです。

今年9月に行われるワシントン条約締結国会議で
ヨウムの附属書Ⅰ類指定はかなり確実となりそうな記事内容です。
オールバード8号では、この件について、
現在飼育中のヨウムが附属書Ⅰ類(サイテスⅠ)指定となった場合に備え
どうしたら良いのか?などを書かせていただきました。

正式名称「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約
最初の条約締結された都市の名を取り「ワシントン条約
英語での頭文字を取って略称「CITES(サイテス)」とも呼ばれ
その正式名称の通り、絶滅が危惧される動植物についての
国同士での輸出入についての取り決めで、現在約180の国で効力を持っています。
絶滅に対する危険度により、付属書Ⅰ類、Ⅱ類、Ⅲ類に記載種が分かれており
Ⅰ類に行くほど、国際取引による絶滅の恐れが高いとされ
規制が厳しくなり、Ⅰ類記載種は学術目的などを除き基本的に野生個体の
商取引が禁止されます。

ワシントン条約自体を受け、国内での希少種保護のために
日本には「種の保存法」があります。
ワシントン条約自体は、その名の通り、国際間の取り決めとなるため
日本国内に入ってきた希少種に対する法律となります。
この法律により、ワシントン条約付属書Ⅰ類(サイテスⅠ)記載種は
国への登録が義務付けられていて、登録証が無いと
国内での移動が規制されることになります。

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国内での移動が規制されるって?ということは
まず登録証なしでの販売が出来なくなり、
個人間などでの譲渡でも登録証が必要となるということです。
なーんだ、じゃあうちでずっと飼ってる分には大丈夫って
ことじゃん!となるかもしれませんが、
オウム目は長寿の種が多く、今回話題に上がっているヨウム
50年生きると言われている種類。
今、自分が何歳でヨウムは何歳?最後まで面倒を見られる保証は??
年齢的に問題が無くても、経済的な理由や病気、転職転居、結婚離婚など
飼い主さんの側の事情が変わる可能性はいくらでもあり
これからヨウムが生きるであろう年月に
出来るだけの可能性を残してあげるためにも登録は必要だと思います。
登録証の無いⅠ類記載種は、動物園などの指定された施設に
収容されるしかなく、長くひとと「家族」として暮らしてきた
歳を取ったコンパニオンバードへの唯一の選択肢としては
過酷な場合も多々あるのではないかなぁ…と個人的に思ってしまいます。

国際希少種の登録について、
国からの委託機関として「一般財団法人 自然環境研究センター」が
現在登録機関として指定を受けています。

国際希少種の登録・製品認定|一般財団法人 自然環境研究センター

種類や取得方法によって申請に必要な書類が違ってくるというので
まだ指定をされていないヨウムについて、詳細は不明ですが
現在までのオウム目Ⅰ類記載種については、
基本的に、販売個体は購入した販売店の領収書などの購入記録、
国内繁殖個体では、繁殖証明書などがあれば申請可能なようです。
お持ちでない場合は、購入店に連絡をして発行してもらうなどの
対応が必要になります。
上記の手続き方法をよく読んで、Ⅰ類記載が決定した場合は
その申請方法を問い合わせ、登録が出来るよう準備をおすすめします。
また今回はヨウムですが、基本的にオウム目はセキセイ・コザクラ・オカメ・
ホンセイインコを除く全種がⅡ類以上の記載種です。
(ブンチョウもⅡ類種)

オウム類が最も危惧される鳥と判明 | バードライフ・インターナショナル東京

野生個体の減少著しいオウム目は、どの種もⅠ類種になる可能性は
高いので、ヨウム飼いさんだけではなく
他の種類のオウム・インコと暮らしてる方にも
ワシントン条約や国内登録について知って頂ければと思います。

固い話になりましたが、
実際に登録証が無く行くところが無いオウム・インコも
目にしています。
30年40年とひとと家族として密に付き合って来た
感情も知能も豊かないきものが、もう家族としてはどこにも
行けないという未来の可能性を少しでも少なく出来ればと思います。
現行Ⅰ類記載のオオバタンやコバタンなどに比べ
今回のヨウムは飼っている方がとても多く、
その分将来の懸念が増えると思います。
ネットやツイッター、オールバード誌などで情報発信をしても
届かない層は沢山ありますので、身近に飼っている方がいらっしゃるなど
出来るだけたくさんの方に、ヨウムの登録について
話をしてもらえればうれしいです。

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写真はお友達のおうちのヨウムさんですが、
とても面白くて、いつまで遊んでも飽きない!(^^*)
本当にとても魅力的な生きものだと思います。
世界から居なくなるようにしちゃ、いけないですね。

 

野生ヨウムの絶滅危惧については、また次回!