とりどり便り

鳥好きの鳥だらけブログ

鳥関連過敏性肺炎

鳥関連過敏性肺炎の記事が昨年末前からいくつか出ていて
以前鳥友さんがこの病気で入院していたことを思い出しました。
鳥由来のため、鳥を飼う人にはとても関係がある病気でありながら
良く知られていないこと、
発症の危険が鳥を飼っている人ならば誰にでもあることから
知っている範囲内ですが、関連をご紹介します。

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お見舞いに行った東京医科歯科大学病院に貼ってあった
注意喚起ポスター。
この病気の方が多く入院しているところだった為
お見舞いに行く人にも注意が必要でした。

style.nikkei.com

「鳥関連過敏性肺炎」昔は「鳥飼病」と呼ばれ、
鳥の羽毛や排泄物に含まれる微小なたんぱく質や真菌等を吸い込むことにより、
それを抗原としたアレルギー反応が起き、
肺の中の間質という部分に炎症が起こる、間質性肺炎を引き起こす病気です。
風邪と似た症状が起こり、乾いた咳が止まらず
急性肺炎の場合は高熱が出る場合もありますが、
鳥関連であるという診断が難しい為、原因不明の間質性肺炎であると
診断されている場合も多いようです。
鳥の生体だけでなく、鳥の羽毛が使われるダウンジャケットや羽毛布団も
抗原となるので、それらの使用頻度があがる冬季に発症が多く見られ、
中高年層の発症割合が多くみられるとのこと。

鳥を飼っている人だけではなく、
鳥の剥製やダウンジャケット、羽毛布団などの抗原が含まれる製品の使用、
鶏舎や鳩舎または野鳥・鳩の多く集まる場所、
鶏糞肥料をまく田畑、野鳥の巣など糞の多い場所近くを
通ることでも発症例があります。

自身の経験でも、この病気と診断され泣く泣く鳥を手放した方を
何名か知っています。
アレルギー疾患の為、抗原である鳥と接触しては
人間の命に関わるからです。

鳥が大好きで大事に一緒に暮らしてきた方に
とても過酷な診断となります。
本当に号泣しながら手放して、映画でしか見たことないような
防塵マスクなどで重装備をしてそれでもどうにか一緒に暮らす道を
模索する方もいらっしゃいました。

コンパニオンバードのクリッカートレーニングや行動学の
第一人者・石綿美香さんもこの病気になり、
でもすごい努力で道を作って、今も愛鳥さんたちと暮らしています。
石綿さんの発症からの経過や対策は下記ブログより。
また文中リンクのある鳥関連過敏性肺炎の論文は
この記事の参考にもさせて頂いております。
(難しい部分は全然理解が出来ていませんが…orz)

石綿美香 コンパニオン・バードのための行動&トレーニング 
鳥アレルギーによる過敏性肺炎

バード インコ トレーニング クリッカー

誰にでも発症の可能性がある病気の為、
特に鳥を飼っている方には気を付けて頂きたい病気、
何故なら大好きあっている人と鳥が離れ離れに
ならざるを得ないような病気です。
そうならないように、普段からこのような病気の可能性を知り
対策することも、
人と飼い鳥、両者のしあわせに繋がる事だと思います。
コナ、と俗に言われる脂粉、粉綿羽の多い鳥種、
白色オウムやヨウムオカメインコ等の飼い主さんは
脂粉で喘息等呼吸器疾患になりやすいことを
元々念頭に置いておられる方も多いと思いますが、
この病気の可能性が高い鳥種にもなります。
また、人間側で呼吸器が弱い・感受性が高い・アレルギー体質の方も
可能性が高い分、他より対策をしっかりする必要があります。

同じくアレルギー疾患であるスギ花粉症などと対策は
似ているかもしれません。
抗原に曝露されることをなるべく減らすことが対策です。


人間と鳥の生活空間を別にして時間を決めて遊んだり
掃除等の際にきちんと防除の出来るマスクや服を着る、
ダウンジャケットや羽毛布団などの製品を使わないことで
抗原に触れないようにすること、
マメにケージや鳥の生活環境の掃除を行う、しっかりと空気清浄機等を使用し
また清浄機自体もマメに掃除をすることにより
生活空間に抗原を貯めないこと、
鳥の多い場所に行ったあとや掃除の服は、
すぐに洗って抗原を落とすことなど
神経質になりすぎる必要はありませんが、
生体飼養時に少しそういう病気があることを念頭に置いて
気を付けてるだけでも、予防になることはあると思います。
あと、鳥好きな方はやってしまう匂いをフガフガ嗅いでしまう…(笑)
あれも呼吸器弱い方は控えめに~。

「そんな面倒くさい…」「鳥飼うのコワイ」のではなく
知って理解することで早期対応、発症前の対策が出来れば
鳥と別れる哀しい事態を回避出来る時もあるかと思います。
発症すると努力しても出来ないことも、
どうしても出てきてしまいます。
人間も鳥も命なので、生きていれば両者色々なことがありますが
「飼い主」である以上
なるべく色々に対応出来るように、色々を知っておくことは
とても大事だと思っています。
鳥のためだし、ひいては自分が悲しまないためにも。

 

 

 ↓第一章執筆担当させていただきました。